ドクター青木のぞうさん日記

makenaizone主宰の青木正美が、自分の生活の中でできるボランティアとは何かを考え、実行してみよう、そんな四方山話を綴ります。
Dr Aoki's Prescription...

2014.8.29

2014年8月29日 金曜日

8:00   22℃

今夜は神戸に来ている。makenaizoneの大事な仲間の家族に訃報があって、新幹線に飛び乗った。
駅の近くは止んでいたのに、東灘区にはいるとザンザン降りの雨になった。
新幹線で尾崎放哉の俳句集を読みながら来たせいか、寂しさがつのる神戸の夜だ。
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好きな句は
……心をまとめる鉛筆とがらす
……山ふところの風の饒舌
……そうめん煮すぎて団子にしても喰へる
……たまらなく笑ひこける声若い声よ
……あけがたとろりとした時の夢であつたよ
……ぶつりと鼻緒が切れた暗の中なる
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人はいつか死ぬる。なんで独りで生きなくてはならないか。
わたしはここに居る。わたしはここに居るぞな。
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御影には君を遣らずの雨の秋       (哀悼 大くん)


2014.8.28

2014年8月28日 木曜日
makenaizoneの田中幸子編集長のIBC
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http://vimeo.com/104589808
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8:00   20℃


2014.8.27

2014年8月27日 水曜日
朝、目覚めると、そこはソファーの上だった。こういう日は大抵ついていない日が多いのだけれども……。
昼休み、うちのスタッフ総出でアイスバケツチャレンジの収録をば。
ALSは全身の筋肉が萎縮して動かなくなり、やがて呼吸が止まってしまい死に至る難病だが、2005年に法律が改正されて患者の親族以外にヘルパー職にも痰の吸引が許されるようになった。それまでは家族がやるしか他に方法がなく、一時間に1〜数回の痰吸引のために、在宅でALSの進行例で気管切開をして人工呼吸器を装着する事は、だから家族の寝ずの介護と引き換えに行われていたのだった。
すると、夫婦間のどちらに発症するのかという事に大きな差が出てくる。
夫が発症した場合は、呼吸器も付けるのが当たり前。介護は主に妻がするのが当たり前だった。
では、妻が発症した場合はどうか。呼吸器を付けるか否かで妻が拒否をする場合も多かった。その前に、病名と予後が分かった時点で、妻から離婚を申し出る例も多かったという。
2005年以降は、少しだけ家族の介護の手間が減ったのだが、未だに夫と妻の間には、この病気に対する「性差」が存在するのが現実だ。
というわけで、そんな「性差」を知ってもらうために、北海道旭川市の元麻酔医・現在は催眠術師の百合野方稀氏から指名をうけたのでアイスバケツチャレンジを引き受けたのでした。
次は、アイルランド在住のmekenaizoneの田中幸子編集長、神戸市のまけないぞうタオル仕分隊長の家藤美仁さんに指名しました。次はよろしくねん!
閉診後は三宅洋平のライブだと勝手に思って行ったら、講演会でした。
しかも偶然に堀口貞夫氏までみえていて感激したな。
洋平の手は、湿っててあったかい手だったぜ。
沖縄の大きなフェス前なので忙しいのかもしれないけど、東京は青山に出てきて、ちょっとした失言も3回アリ。全体的にちょっと「鈍」になっている部分もある。もう少し勉強をせんとあかん。わらじ編むおじいは男の中の男かい?選挙に出ると決まったら嫁入り前の女のようにさめざめと泣いたかい?しかも72歳は老人だといいおった。スリーアウト、チェンジ!もう少し磨けよ、洋平。三宅商店やる前に、自分の鏡をよく磨け!
しっかし、ソファーで寝落ちしちまったんだけれども、全くもっていい一日だったなぁ。
平和とは皆笑ってゐる米倉忌

 


2014.8.26

2014年8月26日 火曜日

今夜は閉診後に郡山の妹が遊びにやってきて、佃のイタリア料理屋さんでピッツァとパスタを食べながらあれこれおしゃべりタイムとあいなった。
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彼女の娘一家は郡山から会津若松に自主避難をしていたのだが、この夏、正式に会津に永住を決めたそうだ。その娘の一家に二人目の孫が生まれて、バアバも会津と行ったり来たり。夫の両親とも同居していて、介護にも時間がとられる。
だから時々、仕事で東京にやってきた時には、いっしょに美味しいものを食べることが息抜きになる。

彼女はピッツァに齧りつきながら、
「広島の避難所の人たち、ホテルに移せないんですかね?家も家族も失ってボロボロでしょうに」
本当にそうだ。25日の毎日新聞によると避難所に1669人が避難しているという。小学校の新学期が始まらない、と。
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広島市は、日本で有数のホテル王国なのだ。仙台の次に多いのではないだろうか。
そこに入ってもらってはどうだろうか。
政府のエライさんが言えば一瞬で決まる事だが、役人は被災者の平等が保たれないからという理由で、なかなか実行できやしないのだ。
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でも、被災者には、何よりも個室でゆっくり風呂に入り、清潔なベッドでぐっすり寝ることで、緊張状態を少し緩めることができるだろう。ボロボロになってしまった尊厳が少し取り戻せるのではないだろうか。
東日本大震災のように巨大な被災地なら不可能だろうが、2000人ほどの被災者に尊厳あるプライバシーと暖かい風呂がどれほど必要なことなのか、何時になったらこの国の役人にわかるのだろうか。
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とか何とか二人でとめどなくあれやこれや話しながら、ブラッドオレンジのムースまで食べて、最終の21:44の新幹線に間に合うように東京駅まで送って行った。乗ってしまえばたった80分で着くのだし、ここのところ毎月ぐらいに会っているのだが、別れはいつもせつない。いつも何となく、戦地に送り出すように感じるのだ。
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ところで今日の夕方、旭川のドクターからIBCの指名を受けてしまった。24時間以内に実行しなければならないので、27日は昼休みにアイスバケツをかぶる予定だ。色々な批判は承知の上だが、ALSと聞いては断れない。20年ほど前にALS友の会の方の講演を聴いてから、この病気にはいかに男女で社会的に格差があるものだったのか、片時も忘れたことはない。その話はまた次に。
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閉診後は三宅洋平のライブ。昨晩初めて洋平が自分でツイートしていたが、遅いぞ洋平!246席のライブ会場など、瞬時のsold-outにならなくてどうするよ。
それから17時からはNHKの「ゆうどき」という番組にちょこっと出ます。
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2014.8.25

2014年8月25日 月曜日

夏休みに友人が軽井沢に持ってきたマンガ「アドルフに告ぐ」手塚治虫作を読んで(自分は生まれてこの方、長編のマンガを読んだ事がなく、というかあんまりマンガが得意では無かったのだが、今回はiPadにダウンロードして読破してしまった)、その後ヒトラー特集のテレビを見たりして、ここのところちょっとしたヒトラーのマイブームになっている。
ヒトラーだけではなく、その周辺の時代に何があったのか。もっともっと知りたい。
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という訳で、昨晩、FIグランプリを見て眠りにつこうとしていたら、そのままBSのどこかのチャンネルで、ケイト・ウィンスレット主演の「愛を読むひと」がやっていて、ついつい午前3時過ぎまで惹き込まれて観てしまった。もうケイト・ウィンスレットがめっちゃ良かったし、最後の20分間がまた、現代アメリカを象徴する設定になっていて秀逸だった。
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話しは1958年から1955年までの、ドイツ人の男性の半生を描いたものなのだが、ケイト・ウィンスレットとレイフ・ファインズが演じる女と男の、個人の力ではどうにも抗うことができなかった孤独な人生が、観る者の胸に突き刺さってくる。
ドイツは戦後長い間、自分たちでユダヤ人虐殺のことを総括していて、それが戦後になっても身近かな人が裁かれていなんだなぁ、きっと多くのドイツ人が、戦後もずっと戦争の責任を個人の感情の中に背負って、ヨーロッパ大陸の中で生きてきたんだなぁ。と。
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日本はその間、いったい何をやっていたのだろう。
かなりリベラルな本屋さんでも、嫌韓・嫌中の本が平積みになっている現在、ドイツではそういうのは決して無いだろう。
いや、あれだけイスラエルが米英とイケイケで、中東でどんなに非情なことをしようとも、ドイツはたいへんクールに構えている。本屋さんに嫌ユダヤの本が平積みなんてことは、まず絶対にないだろう。
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ここのところ、心の中で怒りの中心のモワモワした塊が、映画「愛を読むひと」を観たら、とてつもなくやるせなくなってしまった。何やっているのだろう、この国は。
今宵もドイツと日本のあきれるほどの差を感じながら、モワモワが止まらないのだ。
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8:00   27℃

 

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