ドクター青木のぞうさん日記

makenaizone主宰の青木正美が、自分の生活の中でできるボランティアとは何かを考え、実行してみよう、そんな四方山話を綴ります。
Dr Aoki's Prescription...

2014.3.6

2014年3月6日 木曜日

午後から、診療の合間にドイツのフランクフルトで行われているIPPNW (核戦争防止国際医師会議) FRANKFURTが主宰するチェルノブイリと福島に関する国際会議のインターネット放送を見ていた。仲間の医師や何人かの知人が出席していて、郡山の開業医だった種市靖行医師が発表をした。

普段は寡黙な人で、毎月の会議や催しなどでしょっちゅう顔を合わせているのだが、はじめの頃は滅多に笑わない人だった。妻と子どもを疎開移住させ、開業を止め、今は郡山で勤務医をしながら、長野県松本市に被ばくを避けるように子どもを留学させる活動を始めている。静かなる熱い人なのだ。

発表の後の質疑応答で、フロアから「福島の医師として一番大事なことは何だと思うか」という問いに彼は「医師として一番大事なことは、原発を止めることです」と答え、フランクフルトの会場からは鳴り止まない拍手が続いた。

夕方の診療中にもかかわらず、思わず涙が出てきて困った。

よっしゃ、タネさん、頑張ろう!

という、素晴らしい発表を観た後は、診療終了後ダッシュで東京ドームへ。

待ちに待った、ローリングストーンズの公演だ。50年来の友人とのコンサートは本当に楽しい。

のっけからJJF。汗だくの90分。

ドームの外に出ると、春の冷気が清々しく朧の三日月が出ていた。


2014.3.5

2014年3月5日 水曜日

福島から他県または県内の別の場所に避難していた所謂「自主避難」の方々の帰還が、いまラッシュを迎えている。

原発事故かの当初から「自主避難」の方々には、本当に冷たかった行政だが、ここにきて改めて精神的・肉体的・経済的にも疲れて、帰還する方々が増えている。

今回の自主避難者の特徴は、圧倒的に「母子避難」が多かったということ。

単身よりは母が子どもを連れて、父親と別居をするというケースが多かった。

そうして週末は父親が尋ねてくるという避難のケースが多かった。

中には家庭内での意見がどんどん合わなくなって離婚をするケースも多かったという。

わたしは東京へ避難をされている方々の他に、山形に避難されてているママたちや県内避難で会津若松のママとも親しくしているが、どの家族にも沢山の悩みがあって、百人百様であることは言うまでもない。

では、この国の行政が百様のケースに対応しているかといえば、全く対応していないどころか、そもそも「自主避難」という事自体があたかも無かったかのように扱っているのだから、これに対応しようとも思ってもいないのだろう。

福島県からの「自主避難」ばかりでなく、茨城県からも栃木県からも千葉県からも東京からも、その他の沢山の地域から「自主避難」あるいは「移住」をしているママたちも沢山居る事実も、全く調べようともしていないこの国の行政。

今週辺りから、311に向けて色々な復興イベントが目白押しだ。

マスコミでも特集記事や特集番組が増えても、まずは「自主避難」に光が当たることはない。しかし、例えばこれから低線量被ばくのスクリーニング検査をすることになったとしても、基礎的なデータを取るのであれば早ければ早いほど良いに決まっているだろう。

今回の311は災害として余りにも大きく、余りにも沢山の切り口があるので、ここに光が当たらないのかもしれない。しかし、逆に言えば、ここに光が当たるようになった時、本当の意味での復興が語られるようになるのではないだろうか・・・。


2014.2.20

2014年2月20日 木曜日

集団的自衛権というものがある。

私たちの国の、憲法の中には敢えて書かれていないが、憲法九条の一項で

日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

 

こう謳っている。第二次世界大戦から68年間、国際紛争下で外国の戦士を一人も殺害していない。一人も殺害されていない。

 

それは国是としての、集団的自衛権があったからだ。

しかし最近、安倍晋三内閣総理大臣は、「オレが組閣をしたオレの閣議で、オレが決める。文句あっか!」とのたまうのだ。

 

ちょっと待った!文句あるよ、何でこんな独裁なんだろうか。

これで戦争をしちゃえる訳でしょうに。冗談はやめて欲しい。

 

だったら、国民投票でズバリ「九条の是非」を私たちに問うてもらおうじゃないか。

なぜ、こんなにガシガシと私たちの国を壊そうとするんだろうか。

 

こんな大事な事を、こんな独裁的な人間に変えられては堪らない。

この国は、安倍晋三のおもちゃではないのだ。

私たちには、絶対に譲れないことがある。

私たちは、いまこそ、この内閣の独裁を止めなくてはならないではないか。

 

浅田真央選手の素晴らしいフリーの演技の晩に

 

 


2014.2.25

2014年2月15日 土曜日

東京の図書館で「アンネの日記」が破られる事件が多発した。

「本を破る」という野蛮な行為に加え、「アンネの日記」だけが300冊も狙い撃ちになった。

この本の歴史的な背景を、世界史を、ユダヤ教のことを、キリスト教のことを、あの戦争のことを、否この3000年間の差別の歴史とその不幸な結果を、戦後の世界のあり方を、どれほどまでに知って、何を思って本を破いたのだろうか。

歴史を知らぬ者は、必死になって学まねばならないし、その報いを受けなければならないのだ。なぜなら、私たちはこの地球の一員であるからだ。身の毛がよだつ事件だった。

ウクライナで市民が流血しながらも、ヤヌコビッチ政権を倒した。

昨年5月、日弁連の人権擁護委員会の視察団のメンバーと、あの独立広場まで延々と歩いて地下鉄に乗った、風薫る長閑なキエフを思い出す。

1932年の大飢饉ポロドモールはスターリンの仕業だと知って、貧しいけれどもロシアと一線を画してきた誇り高きウクライナの、そのまた気骨のある人々が、この度立ち上がったのだ。それを祝わずして何を祝おうか。

けれども、チェルノブイリ原発の町から避難して来たあの親切な人々や、家に招いて話をしてくれた牧師さん一家のあの子ども達や、無口で小柄な通訳さんたちは、みんな元気で居るだろうか。

 

今日は朝、福島第一原発の4号機の燃料プールの電源が落ちた。数時間して回復はしたものの、背中を冷や汗が流れ落ちる思いがした。

そうしてエネルギー基本計画が発表された午後。

性懲りも無く原発を「ベースロード電源」にするという。

「アンネの日記」が破られたり、ウクライナでヤヌコビッチ政権が崩壊したり、4号機の燃料プールの心配をしなくてはならなかったり、またもやベースロード電源とかいう話になったり、それはしかし、歴史の中では同じ色の糸で繋がった話なのだ。紛うことなく3000年前からずっと同じ色の糸を紡いで今に至るのだ。

もう止めにしようではないか。流血の血の色に染まった糸を紡ぐ歴史を、やめようではないか・・・と言いつつ、虚しくなる夜だ。

写真はキエフの独立広場


2014.2.15

いわきのママベクの、ちばゆみと長電話をして今きったところだ。

須賀川で大雪にあって、いわき市まで帰れないとのこと。

ちばゆみ、は、たぶん沢山疲れを溜めているだろうなぁ。

彼女はいわき市の学校給食のお米が地産地消になることに、ずっと反対しているママなのだ。

今も電話で話しながら、お互いに一番一致するところなのだが、何で学校給食が地産地消なの?考え方がおかしくない?

ベクレルの測り方だって、セシウムしか測ってないでしょうに。

この国の科学技術は世界でもトップクラスなのだ。もっともっと、工夫してβ線を測れるものまで導入するまで、地産地消を待てないのか?

いわき市から北に40km離れたところに事故を起こした第一原発がある。

JAや政治家の思惑で、「農産物の安全宣言」をしたかったから、手っ取り早く学校給食のお米を福島の地産地消にすることを決めた。

その試みは福島市から始まって、だんだん広がってきて、到頭ちばゆみの地元、いわき市にまでやってきた。

彼女は仲間たちと一生懸命に闘って、抵抗を試みた。

頑張って頑張って・・・。

でも3月までに署名を沢山集まらなければ、給食のお米はいわき産のものになってしまう。

しかし、常識で考えて欲しいのだ。

なんで、子どもが一番先に「生け贄」にならなくてはならないの?

食べて応援なら、55歳以上が幾らでも食べるよ。

しかし、子どもと妊娠可能なひとたち、つまり最低でも35歳以下は、真っ白なゼロベクレルを食べさせなくては・・・。

子どもは私たちの未来そのものだ。

原発即時停止、そのかけ声だけではなくて、たった今、私たちは学校給食の現場で起こっている、ママたちの声にもう一度耳を傾けなくてはならないと思うのだ。

ね! 何で学校給食からなんですか?

もっともっと安全な事が分かるまで、何で待てないのですか?

東京の大人こそ、最も考えてゆかなくてはならない問題ではないかと、わたしは思う。

 

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