星月夜未知なるときへ胸躍る
張り裂けし想ひ乗せたる月上る
つぎのバスには乗ろう一緒に
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新聞やテレビのメディアが余りにも不勉強不見識なので、今まで分かっている知見から今回の御嶽山の噴火について記す。
自分も何ぶん完全なる門外漢なれど、マスコミが余りにも酷い不勉強なので、このままでは第二第三の噴火が見逃されることになると思って筆を、否キーボードを叩いている。
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まず、日本列島付近には110もの火山がある。その火山はすべて、プレート境界に沿って存在する。なぜならばプレートの沈み込み運動に因って出来たマグマを排出する口が、火山口であるからだ。(火山の成り立ちにはプレートと無関係で、地球の核からマントルを溶かしながら上がってくるマグマを排出する火山もあるが、今回は長くなるので省く)
一昔前までは、プレート境界型地震と火山活動の関連については、まだまだ解明に至っておらず、しばしば地震と火山の関係性が不明な時代が長くあった。それで、日本列島の火山は、7つに分類されてきたのだったが、現在ではプレートテクトニクスに因って火山運動も解明されつつある。
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日本列島は陸のプレートの下に海のプレートが沈み込む「沈み込み帯」という場所に位置する。「沈み込み帯」での火山の最大の特徴は、プレート運動に因って常にマグマが供給されているということである。
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プレート境界でのマグマの形成過程はこうだ。
プレート境界の深い場所では、プレートの沈み込む摩擦に因って高温高圧になっている。殊に地下100kmの所では、沈み込む海のプレートから水が浸み出てきて陸のプレートのマントルと反応し、水がマントルを溶かしてマグマを形成する。
プレート境界の地下100kmでは、1200℃、3万気圧もの負荷がプレート境界に掛かっている。この高温高圧により、海のプレート由来の水が陸のプレートのマントルを溶かして、マグマが作られる。
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このマグマは、地表近くまで上がってゆき、やがてマグマ溜まりができるのだ。だが普段はプレート境界で陸のプレートと海のプレートが拮抗して高い圧がかかっているうちは、そう頻繁にはマグマは排出されない。つまり大きな噴火はしない。しかしプレート境界型の地震が起こって、陸のプレートへかかる圧が弱くなったときにマグマは地表に出易くなる。つまり噴火を起こす。それが火山噴火のメカニズムである。
日本列島の周囲でプレートの沈み込みに因って生産されるマグマは、実に年間11億トンにもなるという。
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プレート境界で形成されたマグマは、その形成過程から元々多量の水分を含んでいる。これが地表近くに出て来た時、水の分子が気化する事に因って、体積が1000倍以上になる。従って、プレート境界で起こる火山噴火は大規模な火砕流など、爆発的になる事が多い。アイスランドやインドネシアの火山噴火とともに、日本列島もその例である。
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つまり、プレート境界では常に水分を沢山含んだマグマが形成されており、プレート境界では時々、地震が起こってきたのだ。そうして地震の後には、マグマの噴火がある。これはプレートのメカニズムからして、至極当然な一連の流れと考えてよいだろう。
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2011年の東日本大震災では、マグニチュード9という人類史上最大級の地震が起きた。
人類の歴史上現在まで、M9の地震は4回あり、その全てはプレート境界型地震であり、その3回まではその後に火山噴火が観測されている。たった一回の例外とされて、その後に火山噴火を見なかったのが東日本大震災だった。
もう一度記す。これまで人類史上、M9の地震が起こって、その後に火山噴火を伴わなかったのは東日本大震災だけだったのである。従って311の後、火山と地震の専門家は、大規模な火山噴火を今か今かと固唾を飲んで待っていたはずだ。
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プレート境界で起こる地震は、沈み込む海のプレートがもうこれ以上沈み込めなくなってリバウンドを起こした時に発生する。するとそれまでプレート間で大きく圧が掛かりながらマグマが押さえられていたのだが、プレートの沈み込む圧が急に減じることによって、陸のプレートの中でマグマが押さえきれなくなり、マグマはかなり地表近くにまで上がってきているはずだった。つまり、火山の場所はともかくとして、東日本火山帯の火山が噴火するのは時間の問題だった訳だ。
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日本列島にある火山帯は、プレートテクトニクスが解明されてからは、以前とは全く違う分類がなされていることは前述した。(とはいえ、門外漢の青木がら言わせれば、まだまだ分類も途上なのだろうか。不明な点が多々あるのだが)
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北米プレートに太平洋プレートが沈み込む「沈み込み帯」に属する【東日本火山帯】と、ユーラシアプレート(一部アムールプレート?)にフィリピン海プレートが沈み込む【西日本火山帯】。今は東日本火山帯に属しているのだろうか?太平洋の小笠原あたり、つまり、ここは変則的ながら海のプレート同士がぶつかっている場所で、フィリピン海プレートに太平洋プレートが沈み込む、【旧富士火山帯】に分けることができる。
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今回の御嶽山は、東日本火山帯の最も西の果てに位置する火山なのだ。
つまり、3年半前の東日本大震災によって、大きくプレート間の圧力のバランスが変化した日本列島では、東日本に位置する火山は、それまでに溜まりに溜まったマグマへの圧が減じて、吹き出す口を探していたはずなのであった。
だから、浅間山が噴火しようとも、岩城山が噴火しようとも、岩手山が噴火しようとも、磐梯山が噴火しようとも、鳥海山が噴火しようとも、東日本火山帯に属する火山ならどこが噴火しようともよかったのだ。もちろん、御嶽山は大本命中の本命候補だった。
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さて、本稿の一番始めに書いたように、火山帯の分類は昔と変わっている。昔は富士火山帯とか那須火山帯とか言っていたものだが、近年、プレートテクトニクスの解明が進んで、沈み込み帯周辺の地震と火山の関係について研究が進んだからだ。
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だからこそ、今回の御嶽山の噴火は「予兆がなかった」と気象庁は言っているが、火山性の地震や低周波地震があったと発表されているのだ。それは立派な「予兆である」。それを予兆と言わないなら、何をもって予兆というのだろうか。ふざけるな。
予兆は小さく短かったにしろ、あったことはあったのだ。
火山予知連絡会やら何やらが、どんな言い訳をしようとも、それは揺るぎようもない事実である。
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すると、この度の噴火に因る死者は、人災だったのではないのか。M9のプレート境界型地震の後に起こるべくして起こるはずの火山活動を、この国の専門家が過小評価したことに因って起こった、世にも見事な人災ではなかったのか。
もしも東日本火山帯に属する火山に、もう少し世間の関心があれば、もう少しマンパワーがあれば、南海トラフ地震に対する予算の1/1000でも付いていたら、こんなことにはなってはいまい。
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快晴の紅葉の候の休日の昼に起こってしまった噴火であったので、早朝に登山を開始した登山客が山頂でお昼を食べる時間であった。リュックの口は緩めて、気も緩んでいたに違いない。
もしも噴火が午後3時なら、登山客は大方下山していて、死者は激減していたに違いない。
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日本の国土は、地球上のたった0.25%に過ぎない。そこに地球上で起こるM5以上の地震の25%が集中し、地球上の火山の7%が存在する。
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いま現に、地震の活動期に入った日本は、同時に火山の活動期にも入ったと言っても過言ではないのだ。
つまり、これからも同じように東日本火山帯に属している火山では、プレートの圧が緩んだがために、マグマが上昇してきているのであるからして、必ずやこれからも火山噴火が起こるはすである。
もちろん、全く同じ理由によって西日本火山帯の火山噴火が南海トラフ地震と連動して起こる事は充分考えておかねばならないのだが。
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何にせよ火山噴火の本当の意味を、もっとしっかりとした学問的な知見から、マスコミは論じるべきなのである。
御嶽山が噴火した。
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軽井沢ではまったく地震もなく、前日も何も異変は見られなかった。
いつも新幹線で駅に着いた時、ドアが開いた瞬間の第一呼吸で、その時の浅間山の様子を探るのだが、金曜の夜は新鮮な山の匂いだった。噴火しているときには、火山の匂いがするのだ。
金曜の晩から雨がかなり降った。土曜は昼過ぎまで寝ていたのだが、たぶん朝から晴天だったようだ。それで夕方、クルマのボンネットの上に降灰を見つけた。
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御嶽山は火山の分類上、太平洋プレートが陸のプレートに沈み込む事によって生じるマグマ溜により噴火が起こる「東日本火山帯」に属している。
あの311のマグニチュード9の地震があってもなお、火山の噴火が無かった日本列島だったのだが、今回の御嶽山の噴火がM9の東日本大震災の地殻変動によって起こった噴火だとしたら、今後はかなり長く火山活動は続くのではないだろうか。
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それにしても、NIEDのHi net には御嶽山の測定所がないのはどうしてなのか。最も近いのが下呂なんであって、まぁ、浅間山も御代田が最も近い測定所なのだが、どうも納得出来ない。
分かるヒトにしか分からない事を書いてしまった。ともかく東日本大震災以来、信じられないほど多くの研究費が投入されているにもかかわらず、未だに「地震界」と「火山界」の間には、深くて長い溝があるのだろうなぁ。
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それから、登山客の犠牲者の死因が何なのかも今ははっきりしないが、医者が検死をしていないからという理由だけで、「意識が無い」という曖昧な表現は、あれでいいのだろうか?
だって、火山ガスが出たからなのか、落石などに因るものなのか、あるいは降灰に埋まってしまったのか、どんな事が山頂で起こっているのだかさっぱり分からない。
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ともあれ、今回の噴火はHi netの下呂を見ても、当該時間ですら殆ど揺れていないことを見ても、本当に局所で急な発生だったのだろう。
であれば、川内原発なんか、ここ3〜4年で新燃岳噴火し桜島も活発化しているのだから、再稼働だなんてとんでもないことだ。
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颱風17号は、列島には近づかないらしいが、安倍晋三さんよ、その目をかっぽじってよく見るがいい。こいつが来ていたらと思うと、ほんと生きた心地がしない。
この国は、とんでもない自然災害の巣なのだよ。
それにしても、今夜の東京は涼しい。
風邪ひかないように気をつけましょう!
金曜日のバタバタの外来を終えて、新幹線に飛び乗ってしまった。
二週間ぶりの信州は、霧雨の舞う夜、気温は13℃。
ホームに降りたとたん、ポンと交感神経のスイッチがオフになった。
家について布団乾燥機をかけてから、本屋さんに直行する。
週末発売の週刊誌と俳句の月刊誌などを買い込んで、次は隣のスーパへ。
お彼岸の時期に出回るナイアガラというぶどうをゲット。
東京の我が家の辺りでは、本当に手に入らないぶどうなのだ。
このナイアガラ、3〜4房食べると、翌朝のウンチがナイアガラの匂ひになるのだが、どうも最近はそれほど一気に食べられなくなったな。
部屋の中も冷えて来たので、今年初めて石油ストーブに火を入れる。
本当は、薪ストーブが欲しいのだが、マンションでは叶うはずもなく……。
むかしむかし、実家にはアメリカ製のパーフェクションという大振りな石油ストーブがあって、亡母のお気に入りだった。
今でもストーブをつける時のあの匂いをかぐと、おふくろさんの若い頃の顔がふーと浮かぶ。
さてと。なかなか心細い気分は落ち着かないのだが。そんでもって、左肩の神経痛も止まなくて自分でも持て余しているのだが。
今夜はこれからしかと「朝まで生テレビ」を見なければならぬ。
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駆け出した刹那空を切る秋の夢 何度でもみる何度でも
列車のベルが鳴り響くデジャブかな
片恋でいいじゃないかさっ火恋し
9月26日
広島土砂災害発生から、明日でようやく1ヶ月。
いつも「まけないぞう」で被災地の寄り添いをしている 被災地NGO恊働センターの頼政さん、村井さんたちが現地の現実をふまえて最新レポートを発信されています。
No.22から25までのリンクを掲載いたします。
是非 ご一読ください。
なお、被災地NGO恊働センターの facebookページ (こちらをクリック )で情報が発信されていますので是非ご覧ください。
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【豪雨災害レポートNo.22】(9月19日発信)
写真付きレポートは以下のリンク先からご覧いただけます(PC推奨)
http://ngo-kyodo.sakura.ne.jp/uploadfiles/quick_fix/gouu_report_22
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2014/7・8月豪雨災害レポートNo.22
<広島県安佐南区・安佐北区-報告>豪雨災害レポートNo.23】(9月21日発信)
写真付きレポートは以下のリンク先からご覧いただけます(PC推奨)
http://ngo-kyodo.sakura.ne.jp/uploadfiles/quick_fix/gouu_report_23
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【豪雨災害レポートNo.24】(9月22日発信)
写真付きレポートは以下のリンク先からご覧いただけます(PC推奨)
http://ngo-kyodo.sakura.ne.jp/uploadfiles/quick_fix/gouu_report_24
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【豪雨災害レポートNo.25】(9月26日発信)
写真付きレポートは以下のリンク先からご覧いただけます(PC推奨)
http://ngo-kyodo.sakura.ne.jp/uploadfiles/quick_fix/gouu_report_25
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(連絡先)被災地NGO恊働センター
〒652-0801 神戸市兵庫区中道通2-1-10
TEL:078-574-0701/FAX:078-574-0702
E-mail:info@ngo-kyodo.org(担当:頼政・村井)
郵便振替 口座番号:01180-6-68556/加入者名:被災地NGO恊働センター
*お手数ですが、通信欄に「2014、7月8月豪雨水害」と明記下さい。
ゆうちょ銀行 支店番号:一一九(イチイチキユウ)店/店番:119/当座
0068556/受取人名:ヒサイチNGOキヨウドウセンター
(*なお、申し訳ありませんが、どの被災地に活用するかは当方にお任せ下されば助かります。どうしてもご指定があれば、「丹波」「福知山」「広島」などとご記入下さい。)
【まけないぞうサポーターの今井妙子さんからのお便りです】
被災地支援プロジェクトのまけないぞうの親子ぞうさんが、静岡県富士宮市の朝霧高原 もちや (http://www.mochiya.co.jp/) で 楽しい秋の日を過ごしました!
美しい富士山を眺めながら、草大福、つきたて餅、富士宮
また 施設内のまけないぞうステーションのぞうさんの在庫がなくなりましたので、被災地NGO恊働センターさんにまけないぞう、子ぞう、リングぞう、親子ぞう、カップルぞうの追加オーダーも致しました!
これからも引き続き、もちやに来場される世界中からのお客様にまけないぞうさんの紹介を続けていきたいと思います!
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妙子さん、秋晴れの美しい朝霧高原での楽しい一日を過ごしたまけないぞうさん親子のお写真をお送りいただき、どうもありがとうございました!
予てよりもちやさん内設置していただいてい
これからも末永く、まけないぞうプロジェクトの応援を宜しくお願いいたします!
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【Makenaizo Report from Taeko Imai -san in Shizuoka Prefecture】
I am so happy to inform that White Makenaizo Elephant & Red Baby Makenaizo Elephant have enjoyed the beautiful autumn day at Mochiya in Shizuoka Prefecture! They loved the wonderful view of Mt. Fuji from there, and liked Kusa-Daifuku, Rice cake and Fujinomiya fried noodle so much, and had lots of fun at the amusement facility as well.
— We’d like to thank you so much, Taeko-san for the cute photos of Makenaizos with beautiful Mt. Fuji, and for your kindly introducing Makenaizo Project at Mochiya! We do hope that more and more Makenaizos will meet with lots of tourists from all over the world ! ! With lots of thanks from makenaizone!
心から敬愛する黒田裕子さんが、とうとう亡くなってしまわれた。
最後のメールは6月末。
「戦争に反対する医療・介護・保健従事者の会」を立ち上げる際、真っ先に黒田さんに呼びかけ人になって頂いた。
というのも、昨年末「特定秘密保護法に反対する医師と歯科医師の会」を立ち上げたところ、黒田さんから「次に何かやるときは、ぜったい看護師を入れてくださいね」と言われていたからだ。
ほんと人ごとではない、紺屋の白袴。気がついた時は、肝臓がんが全身に転移をしていて、2ヶ月と余命宣告をされたそうだ。しかし、残された命はいくばくもなかった。
長く寝込まなかったのは、まったくもって黒田さんらしい。阪神・淡路大震災以来、恐らく一度も休暇らしい休暇を取ったことがなかった人ではないかと思う。
休暇を取らなかったけれども、その分はおしゃれを楽しんでおられた。サイズは5号サイズ。だから慢性の疲労と元々のやせで、発見が遅れてしまわれたのだろう。
災害復興界にあっては数少ない医療者として、ほんとうに色々なことを教えて頂いた。そうして、戦争を知る世代の先輩として、恐ろしいほどの覚悟を決めて戦争反対を言っておられた。
志なかばで旅に出られたが、またあっちの世で、必ず一緒に行動しましょうね。待ってて下さい!
宵闇に君が拓きし道光る (惜 黒田裕子さん)
http://digital.asahi.com/articles/ASG9S3SQ1G9SPIHB010.html
【まけないぞうサンを応援しています】
9月22日 いつも「マリア隊」でまけないぞうを応援している吉澤美枝子さんからのお便りです。
「中学の同級生と楽しいディナータイム。東日本大震災から3年半たっても、私たちは被災地の皆さんを忘れません。
ゾウさんを紹介しました。
郁子さんが 「私も無力ながら、ぞうさんの作り手さんたちに、思いを寄せていきます」と応援のメッセージ。
何もできないけれど、まけないぞうサンを通 じて思いを東北に届けます♡
中学時代のなつかしい話が尽きませんでした。」
誰が誰だかわかりますか????
中学生時代からの大切なお友達とごいっしょに 「まけないぞう」 を応援していただく優しいお気持ち&笑顔のお写真
被災地の皆さんに何よりの暖かいプレゼントです。
神戸の「被災地NGO恊働センター」のスタッフの方が また次に岩手の作り手さんのところへ行かれるときに、こちらのお写真も紙のお手紙にして 届けていただくようにいたしますね!(楽しみに待っていてくださるそうです。・・・ こちらをご覧ください。)
これからも どうぞよろしくお願いいたします♪
今週は連休明けにもかかわらず、気がつけば毎日、会議とか会食が続いた。
早く寝ないと、と思いながらも、今もボーっとしている。
:
あれ、そういえば台風はどうなったんだろ?
:
http://earth.nullschool.net/jp/#current/wind/surface/level/orthographic=-214.02,34.08,495
「戦争のつくりかた」りぼん・ぷろじぇくとが刷新されて、その内容もさることながら、最も素晴らしいのは帯のアーサー・ビナードさんの言だ。
”よくよく考えれば、「平和」の反対語は「戦争」ではなくて「ペテン」だとわかります。ぼくらがペテンにひっかかるところから、もう戦争は始まっています”
今の酷すぎるメディアの状況を、2年前に誰が想像しただろうか。余りにも酷いので、生まれて初めて自分のメディアリテラシーを疑うほどだ。これは決して冗談ではない。デタラメも100回聞けば本当に聴こえてしまうからだ。
今の官邸はメディア対策に莫大な金をかけている。NHK・読売・産経と結託すれば、もれなく週刊誌もついてきて、朝日新聞とて瀕死の状態に追い込まれてゆく。一般ピープルなど、それこそ官邸のペテンにコロっとやられてしまうだろう。
ところで、朝日新聞が政府事故調で吉田昌郎所長に聴取した「聴取結果書」を公開するに当たって取った手法は、「プルメテウスの罠」で取った手法だった。同時に、公開の仕方もネットで大々的に公開した。だから朝日新聞の記事は多いに注目を浴びた。
「プルメテウスの罠」は、同時多発の4つの原発と燃料プールに起こった壊滅的な事故・難解かつ多様な事故経過を読者に伝えるために、フィクションかと錯覚しそうなストーリー性が高い読み物にしてある、新聞の検証記事としては極めて特異的な雰囲気を持っている。しかしだからこそ、登場人物の言動や行動や決断の数々が、毎回ある緊張感をもってすんなりと読者に届くように工夫されている。
この「プルメテウスの罠」にはある鉄則が貫かれている。その鉄則とは、記事には実名で登場し取材に答えた人の証言以外は、たとえそれがどんなに真実であったとしても、決して記事にしない。あくまでも本人の口で語り、本人が検証をしながら裏が取れたものでストーリーを再現してしてゆく。つまり例えて言うなら「感情のこもった自白証言」を中心に検証する。それこそが「プルメテウスの手法」なのだ。
今回の「吉田調書」も「プルメテウスの手法」で書かれている。ただ一点、取材班が「聴取結果書」を入手した時には、吉田昌郎所長は死んでいたので問題の部分の表現は、ものすごく親切に考えれば細かいニュアンスが掴めなかったのかもしれない。ものすごくイジワルに考えれば、記者が「山っけ」を抑えることができなかったのだろう。
いずれにしろ、忘れてはならないことは記事は病院のカルテではない。一世一代の大スクープを「プルメテウスの手法」で世に出すと決めた時点で、大いなる「山っけ」が有って当然のことではないか。もう一度言うが、記事は病院のカルテではないのだから。
もう一つの従軍慰安婦の話でも、朝日新聞叩きが止まらない。
確かに、8月5日の検証記事はとんでもなく読み難かった。
しかし、それでも優れた記事が一面に載っていたことを忘れてはならないと思う。
今、メディア状況が余りにもペテンに満ち溢れている。それは、アーサー・ビナード氏がいうところの、危険信号が点滅しているということなのだろう。
これだけ枝葉末節を取り上げて、官邸がリーク合戦を仕掛けて、真っ当なメディア(と思われる)を叩き潰す事態に直面して、わたし達一般ピープルはどうすればいいのだろう。
この馬鹿げたメディアスクラムの果てに、戦争が待っていることだけは予想がつくのだが……。
ここに自分への備忘録として、杉浦信之氏の記事を置く。
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慰安婦問題の本質、直視を 編集担当・杉浦信之
2014.08.05 東京朝刊 1頁 1総合 (全1,620字)
日韓関係はかつてないほど冷え込んでいます。混迷の色を濃くしている理由の一つが、慰安婦問題をめぐる両国の溝です。
この問題は1990年代初めにクローズアップされ、元慰安婦が名乗り出たのをきっかけに議論や研究が進みました。戦争の時代に、軍の関与の下でアジア各地に慰安所が作られ、女性の尊厳と名誉が深く傷つけられた実態が次第に明らかになりました。
それから20年余、日本軍の関与を認めて謝罪した「河野談話」の見直しなどの動きが韓国内の反発を招いています。韓国側も、日本政府がこれまで示してきた反省やおわびの気持ちを受け入れず、かたくなな態度を崩そうとしません。
慰安婦問題が政治問題化する中で、安倍政権は河野談話の作成過程を検証し、報告書を6月に発表しました。一部の論壇やネット上には、「慰安婦問題は朝日新聞の捏造(ねつぞう)だ」といういわれなき批判が起きています。しかも、元慰安婦の記事を書いた元朝日新聞記者が名指しで中傷される事態になっています。読者の皆様からは「本当か」「なぜ反論しない」と問い合わせが寄せられるようになりました。
私たちは慰安婦問題の報道を振り返り、今日と明日の紙面で特集します。読者への説明責任を果たすことが、未来に向けた新たな議論を始める一歩となると考えるからです。97年3月にも慰安婦問題の特集をしましたが、その後の研究の成果も踏まえて論点を整理しました。
*
慰安婦問題に光が当たり始めた90年代初め、研究は進んでいませんでした。私たちは元慰安婦の証言や少ない資料をもとに記事を書き続けました。そうして報じた記事の一部に、事実関係の誤りがあったことがわかりました。問題の全体像がわからない段階で起きた誤りですが、裏付け取材が不十分だった点は反省します。似たような誤りは当時、国内の他のメディアや韓国メディアの記事にもありました。
こうした一部の不正確な報道が、慰安婦問題の理解を混乱させている、との指摘もあります。しかし、そのことを理由とした「慰安婦問題は捏造」という主張や「元慰安婦に謝る理由はない」といった議論には決して同意できません。
被害者を「売春婦」などとおとしめることで自国の名誉を守ろうとする一部の論調が、日韓両国のナショナリズムを刺激し、問題をこじらせる原因を作っているからです。見たくない過去から目を背け、感情的対立をあおる内向きの言論が広がっていることを危惧します。
戦時中、日本軍兵士らの性の相手を強いられた女性がいた事実を消すことはできません。慰安婦として自由を奪われ、女性としての尊厳を踏みにじられたことが問題の本質なのです。
90年代、ボスニア紛争での民兵による強姦(ごうかん)事件に国際社会の注目が集まりました。戦時下での女性に対する性暴力をどう考えるかということは、今では国際的に女性の人権問題という文脈でとらえられています。慰安婦問題はこうした今日的なテーマにもつながるのです。
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「過去の歴史を直視し、正しくこれを後世に伝えるとともに、いわれなき暴力など女性の名誉と尊厳に関わる諸問題にも積極的に取り組んでいかなければならないと考えております」
官民一体で作られた「アジア女性基金」が元慰安婦に償い金を渡す際、歴代首相はこんな一節も記した手紙を添えました。
歴史認識をめぐる対立を超え、和解へ向けて歩を進めようとする政治の意思を感じます。
来年は戦後70年、日韓国交正常化50年の節目を迎えますが、東アジアの安全保障環境は不安定さを増しています。隣国と未来志向の安定した関係を築くには慰安婦問題は避けて通れない課題の一つです。私たちはこれからも変わらない姿勢でこの問題を報じ続けていきます。
◇今日の特集(16・17面)では、慰安婦問題とは何かを解説し、90年代の報道への読者の疑問に答えます。明日は、この問題で揺れる日韓関係の四半世紀を振り返るとともに、慰安婦問題をどう考えるかを専門家に語ってもらいます。
朝日新聞社
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