10月の終わりに被災地NGO恊働センターの村井雅清さんと会ったとき、美輪明宏さんの被災地チャリティーコンサートのチケットの話になりました。
コンサートの主宰は、村井さんと昔からボランティアで恊働している全日本仏教婦人連盟ですが、美輪明宏さんがどうしてもコンサートに、東京に避難しておられる被災者の方々をご招待したいと望んでいるというお話でした。
先週はじめ、全日本仏教婦人連盟の事務局からわたしのクリニックにチケットが100枚送られてきました。
とはいえ東京に避難されている被災者の方々に、どうやってチケットを手渡すか悩んでいたところ、東雲団地にボランティアで入っておられる料理研究家の山田玲子さんが30枚、彼女の生徒さんを通じてお引き受けくださいました。
しかしまだ残り70枚あります。せっかくのチケットですから確実に被災者にお渡ししたいと思っていました。
そこで、災害復興まちづくり支援機構の事務局長である中野明安弁護士に相談をしてみました。
災害復興まちづくり支援機構とは、大災害が起こった時に、法律家などの専門家集団ができるだけ迅速に、被災地や被災者のために動く事ができるように設立されたもので、わたしも創立当初から末席に名を連ねさせて頂いています。
ことに東日本大震災では、福島県から多く避難をされてこられた方々のサポートを中野事務局長が中心になって、比較的早い段階から法律相談などを催してきました。
今現在、避難された方々は東京のいろいろな場所に散らばっておられますが、さわやか福祉財団のサポートを得て「東京の避難者同行会」が結成されているそうです。
11月9日の夜にFacebookで中野弁護士に、「美輪明宏さんがぜひ被災者の方々をコンサートにご招待したいと、チケットを預かっているのですが」と相談をしたところ、10日の朝一番に「実は今日昼から、第二回目の『東京の避難者同行会』が八重洲富士屋ホテルであるので、同行会の会長に話をしてみます」と返事をもらいました。
『東京の避難者同行会』は春に赤坂プリンスホテルに避難されておられた方々をはじめとして、現在300人ほどの会員が登録されているそうです。
八重洲富士屋ホテルといえばクリニックからすぐ近くでしたので、バイク便でチケットとパンフレット70枚を即刻ホテルに届けました。
法律相談などの堅い話題の後の懇親会の時間に、中野弁護士がコンサートチケットの話をしたところ、その瞬間、被災者の方々の目が大きくなったり、隣の人と笑い合ったりして、少し会場がザワザワして、みなさんがとても喜んでおられるのが分ったそうです。中野弁護士がその様子にとても感激してすぐにメールで報告してくれました。
わたしはわたしで中野弁護士のメールに感激して、会場の感激を伝えようと思い、チケットを送ってくださった全日本仏教婦人連盟の事務局に電話をして、その時の様子をお話ししたら電話の向こうで、ご高齢の担当の方もとても感激してくださり、
「もしチケットが足りなかったら、もう30枚ぐらい用意しますので」と言ってくださいました。
そのご様子にわたしもまたまた熱い思いがこみ上げてきて、東京の『避難者同行会』を取りまとめてくださっている、さわやか財団の担当者に電話してこれを伝えたところ、その方も感激してくださって……。
中野弁護士は被災者支援を一生懸命やっている弁護士さんですが、普段は法律などの堅い支援をやっているので、こういう被災者への支援もつくづく必要であると感じた、と言っておられました。
こうしてひょんなことから被災地NGO恊働センターの村井さん経由で預かった美輪明宏さんのコンサートチケットが、いろいろな方々の感激が感激を呼んで波紋のようにどんどん広がっていきました。
きっと11月29日のコンサート当日には、その感激の波紋が何十倍にもなって会場を包んで美輪明宏さんも被災者の方々も、大きな感激に心が震える事ではないかと密かに思っているわかしがいます。
日本中の関係者のみなさま、本当に本当にご協力、誠に有り難うございました。