わたしの一年は、毎年、阪神・淡路大震災の時期に行われる関西学院大学の災害復興制度研究所主催の シンポジウムで始まる。
今年も1月12日と13日に西宮の関西学院大学で行われる。
今年は一日目が丸々、福島関係に当てられて、大円卓会議が半日続く予定だ。
この中で、わたしも福島第一原発事故に対する医療支援のあり方について、今年度の研究会のまとめを発表することになっている。
スライドやプリントはとっくに閉め切られているのだが、何かが足りない、何かが違う。
日本全国から災害復興のスペシャリストが揃うシンポジウムなのだ。この際、しっかりとした提言をしなければ……。
しかし、子ども・被災者支援法があんな不完全燃焼の法律になってしまったからには、実際的に被ばくされた人々の健康を守ってゆく手段の提案をしなくては、意味がないではないか。
知恵を絞れ、知恵を……などと、もう10日以上も、いえいえ一ヶ月以上も考えているのだが、なかなか降りてこないのだ、知恵が……。
それにしても、子ども・被災者支援法は復興庁、放射線調査と学校健康診断は文科省、除染や健康管理は環境省、食物の調査は農林水産省、被ばく労働管理は厚労省……大体ね、こんなに縦割りだったら、誰が責任を持つんやろか。
ここからして、既にこの国は間違っている。
災害復興では、リスクは分散化しても責任は集中しなければ、全く誰も責任を取らないままになってしまうではないか。
と、いう訳で、日付も変わりそうだ。
スルーマイルやチェルノブイリ事故と違って、世界で最も成熟した医療技術と国民皆保険制度のある国で起こった、初めての原発事故が福島第一原発事故なのであからして、被災者の権利を充分にカバーできなかった子ども・被災者支援法のあり方について、今さら遡って後ろ向きな議論ばかりしていても始まらないような気がするのだ。
よっしゃ、発表内容を変えよう。
朝の飛行機まで、まだまだ時間があるのだから。