2015.8.7

2015年8月7日 金曜日

間も無く川内原発が再稼動される。ここまで原発のリスクが分かっていて、なぜ再稼動なのか。ここまで戦争の被害が分かっていて、なぜ集団的自衛権行使なのか、この2つは同根の問題である。

想像力のない人々が無責任な権限を握っている、しまったと思っても中止する訳にはいかない、ここに尽きる。

権限を握っている各々方へ告ぐ。この国が存命できるように、皆で力を合わせてゆこうではないか。もう時間がないのだから。

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『天地動乱の果てに〜目を覚ませ日本』

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[はじめに]

2015年6月30日未明、箱根山が800年ぶりに噴火した。この状況は千年前の貞観地震の時代に酷似してきていると、最近しきりと言われ始めている。これは2011年の東日本大震災で日本列島を構成している4枚のプレート間のバランスが大きく変化した結果として、陸のプレートに掛かっていた圧力が弱くなり、地下からマグマの上昇が起こって全国の火山活動が活発化しているのである。

今、この国はまさに千年に一度の天地動乱の時にある。この国に迫っている本当のリスクとは何なのか。そのリスクから目を逸らし続けいるのは何故なのか。その最大のリスクに対処する術はないのか。

建国史上最大の国難とも位置づけされている南海トラフ地震による、「最大のリスク」について論考したいと思う。

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[南海トラフ地震の予感]

日本列島は房総半島・伊豆半島を中心に弓状に湾曲をしているが、その理由は伊豆半島の付け根で大陸側に陸のプレート2枚と太平洋側から海のプレートが2枚、計4枚のプレートが交わって複雑な地殻を形成しているからだ。

2011年3月11日、北アメリカプレートと太平洋プレートの境界で起こった巨大地震は、今新たな局面に移行しつつある。2014年の11月22日、長野県北部地震の発生は、東日本大震災で引き起こされた日本列島の地盤のアンバランスが、南海トラフ地震を引き起こすユーラシアプレートとフィリピン海プレートへと干渉し始めたことを意味している。以来、日に日に南海トラフ領域を震源とする地震が増えてきている。

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[南海トラフ地震とは何か]

静岡県の駿河湾から鹿児島県の沿岸まで続く南海トラフで起こる地震は、ユーラシアプレートにフィリピン海プレートが潜り込むプレート境界で起こる。約150年に一度、東海・東南海・南海地震が3連続し最大マグニチュード9クラスの地震を発生させると言われている。最悪の想定では死者は32万人、経済損失は220兆円と算出されている。

関東・中部・関西・四国・九州の主に太平洋沿岸部に地震と津波をもたらす。この地域には日本の人口の約51%が集中する。

政府の中央防災会議の「南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ」がこれまで三回に渡って被害想定を出しているが、そこには最も重要な被害想定が欠けている。

想定されている南海トラフ地震の震源領域には、中部電力浜岡原発3基と四国電力伊方原発3基、計6つの原子炉がある。

しかしこれらの原発事故に因って起こる被害については一切触れていないのである。そしてこの事実について、マスコミ各社も全く異論を呈さずにこれまで来てしまった。

しかし前述したように、日本は現在千年に一度とも言われている天地動乱の時代に入った。

そこで原発震災に因ってどんなことが起こるのかの想定とその解決策の端緒を記したい。

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[2つの原発の被害想定]

南海トラフ地震は150年に一回の割合で東海・東南海・南海地震が連続して起こり、最大でマグニチュード9を超えるような地震になるといわれている。

想定されている南海トラフ地震の震源領域には、中部電力浜岡原発3基と四国電力伊方原発3基、計6つの原子炉がある。合わせて7つの使用済み燃料プールがある。

日本列島は平地が少なく山間部が多い。数少ない平地(関東平野南部・濃尾平野・大阪平野)に人口は密集せざるをえないが、ここは定期的に大地震が発生する運命にある。そうして南海トラフ地震が起こる度に三大平野に甚大な被害が起こってきた。

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[東日本大震災があぶり出したもの]

日本に震災が起こった時、原発が大きなリスクになって複合災害が起こると早くから警鐘を鳴らし続けいていたのは神戸大学名誉教授の石橋克彦氏とジャーナリストの広瀬隆氏だ。だが東日本大震災では両氏の想定を上回る危険性が原子力発電所にあることが発覚した。

東日本大震災の発生直後、原子炉には制御棒が入って核分裂は間一髪で止まったのだが、原子炉の下部の配管の破損により圧力容器から水が抜け、津波到達よりも前に地震直後から燃料棒がむき出しになりメルトダウンに至ってしまった。

なおかつ今まで見過ごされてきた原子炉に勝るとも劣らないほど使用済み燃料プールの危険性が高いということが露呈されたのだった。

東日本大震災の時、福島第一原発4号機の原子炉は定期点検中で原子炉には燃料棒が入っていなかった。にもかかわらず、隣の3号機の爆発に因って4号機の使用済み燃料プールが傾き、崩壊の危機に陥った。この燃料プールの中には使用済み核燃料が1535体あったが、大きな余震でもあればプールの配管から水が抜けプール内の温度が上がり再臨界が起こる可能性や、プールの横転により燃料棒が折り重なってメルトダウンする危険性があった。もしそんな事態に陥れば福島第一原発の施設内に人がたち入ることができず、他の燃料を冷却することができなくなり、とてつもない事故になり首都圏3000万人の一斉避難の可能性もあった。これが世界中で話題になり、東京電力に外力がかかって、早期に取り出しへと動いたと言われている。

一般的に原発では「止める」「冷やす」「閉じ込める」ことが大前提とされているが、燃料プールには「閉じ込める」機能が付いていない。地震大国の日本に於いては、プールに使用済み燃料を保管することが、そもそも間違いだったことが分かったのだった。

結果的には突貫工事の末、11ヶ月ほどで全ての燃料棒を共有プールに移すことに成功した。

それでは南海トラフ地震の震源領域に位置する、中部電力浜岡原発と四国電力伊方原発の具体的な弱点を見てみよう。

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[浜岡原発の弱点]

浜岡原発は日本で唯一、海岸に港湾を持たず遠浅の砂浜に立地する原発だ。それ故、原子炉の冷却に使用する海水を確保するために、砂浜から沖合にかけて長い地下トンネルが掘られている。ところが浜岡原発の真下に東海地震の震源領域があり、地震動によってこの地域は1〜4メートル隆起することが予想されている。すると取水のための地下トンネルは、地震発生とともに破断される可能性が非常に高い。津波の到達を待たずとも、原子炉の冷却が難しくなることが予想されている。

また同じく地震動によって跳ね上がる原子炉や使用済み燃料プールは、配管の破断が起こる可能性が高い。現在、浜岡原発は2〜5号機の燃料プールに計6625体の使用済み燃料棒が保存されている。

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[伊方原発の弱点]

有史以来繰り返し起こってきた南海トラフ地震と非常に密接な関係があると言われている、日本最大の活断層を中央構造線というが、この活断層のほぼ真上に立地しているのが 四国電力伊方原発である。来る南海トラフ地震では、伊方町は震度6〜7の地震が起こると予想されている。

なおかつ伊方原発の3号機はプルサーマル発電を行っているので、燃料棒もプルトニウムが6%混入されており、ウラン単独の燃料棒より格段に爆発力が高い。

また、その他の原発と同様に使用済み燃料プールの危険性もプルサーマル燃料ではひじょうに高いといえよう。現在、伊方原発の1〜3号機の燃料プールには計1408体の使用済み燃料棒が保存されている。

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[被害を最小化するためには]

原子炉を動かさないことは言うまでもないことだが、たとえ原子炉が止まっていても、燃料棒が全てプールから引き抜かれない限り事故が起きる可能性は非常に高い。燃料棒は今の今でも崩壊熱を出し続けており半永久的に冷却が必要であるからだ。前述してきた理由によって浜岡原発や伊方原発の原子炉だけでなく、使用済み燃料プールの管理がより重大な問題であると筆者は考えている。

南海トラフ地震は広域かつ、大規模な火山噴火など複合的な災害をもたらす可能性が強い。発災直後から広大な被災地では大混乱が起こり、飲料水の確保と遺体処理に忙殺されることになる。

その中で大きな原発事故を起こさないためには使用済み燃料棒を、たった今からドライキャスクという容器に入れ、乾的に原発の敷地内に安置する他はない。

合わせて数千体の使用済み燃料棒を乾式に安置するためには、可及的速やかに計画を実行に移す必要がある。なぜならば南海トラフ地震が発災する瞬間までに、その作業が完了していなければならないからだ。

もしも失敗すれば、南海トラフ地震の後は2つの原発の敷地内には誰も近づくことができず、従って手の尽くしようもなく、偏西風に乗った核分裂生成物質が10時間以内で首都圏に到達する。

福島第一原発は東日本大震災の震源地から100km離れていても、この被害状況なのである。南海トラフ震源域にある2つの原発は、想定震源域の真上にあることを私たちは決して忘れてはならない。

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[目を覚ませ、日本]

原発の被害を津波だけに押し付けて、現実の被害想定を全く行っていない国や地方自治体・マスコミ・学者は本当のリスクについて黙秘を決め込んでいる。

しかし、この国のみならず世界中の地震学者・政府関係者・基幹投資家、もちろん日本の高級官僚・経済界のトップ・一部の政治家は、南海トラフ地震後の日本の復興プロセスに一縷の希望も持っていない。単に地震・津波だけでも人類史上に語り継がれるような甚大な被害になることだろうが、まさに震源地の真上に2つの原発があるのである。

千年前の貞観地震時代と現在はよく似ていると言われているが、あの貞観地震の後もこの国が脈々と営みを続けてこられた理由はたった一つしかない。原発が無かったからである。

原発さえなければ、たとえマグニチュード9の地震が起き、何十万人が津波でさらわれようとも、必ずや復興の光が降り注ぐことだろう。私たちの国は、脈々とそうして何十回もの南海トラフ地震を生き抜いていたのだから。原発さえなければ…。

この国の今を生きる医師として知識人として言論人として、これから起こる南海トラフ地震の真の被害について思いを馳せるヒントに、本稿がなることを心から願って止まない。


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