2007年の発足以来、広報&編集委員をしている『日本災害復興学会』のニューズレターに
「makenaizone」のことを書くことになった。700字弱で何が伝えられるだろうか……。
『makenaizone.jp』
昨年の春、311のあと途方に暮れながら診療しているクリニックに、被災地NGO恊働センターの
村井雅清さんから段ボールが届いた。何だろうと箱を開けてみると、果たしてカラフルな
「まけないぞう」が沢山出てきた。そのとたん、待合室の患者さんの顔がパッーと明るくなった。
私はペインクリニックという痛みの外来の開業医をしている。箱を開けたとたん痛みのある
患者さんから一斉に歓声が上がったのだ。
311で東京は揺れに揺れた。復興も遅々として進まない、福島原発の事故も見通しがたたない。
けれども、自分には役に立つような手伝いもできない日々だった。
「そうだ!まけないぞうを応援しよう」。同じように思ってくださった患者さんたちと、
makenaizoneという応援団を作る事になった。
ロゴマークを考えてくれる患者さん、タオル集めに奔走してくれる患者さん、私の幼なじみが編集長
になってホームページも作った。編集長はオーストリア在住のため、記事はなるべく英語とフランス
語に翻訳をしている。
昨年7月には我謝京子監督とともに東北に行き、被災地NGO恊働センターの増島智子さんの案内で、
実際に「まけないぞう」を作っておられる避難所や仮設住宅を回った。それが『311、ここに生きる』というドキュメンタリー映画になり、昨年の第24回東京国際女性映画祭に招待されて、映画祭の初日グリーンカーペットを「まけないぞう」と共に歩くことになった。
「まけないぞう」を通して、被災地と繋がっている。
「まけないぞう」を見る度に被災者のことを思い出す。
「まけないぞう」は、被災地と私たちの心の架け橋なのだ。わたしはmakenaizoneを通じて、
これからも世界中に「まけないぞう」発信し続けてゆこうと思っている。