6月22日の22時からNHK震災ドキュメント2012『ふるさとは奪われた』を見た。
埼玉県の騎西高校に今でも残っている、双葉町の役場と避難所で暮らす町民の現状を追ったドキュメントだ。今も200人の町民が加須市の騎西高校の一次避難所に暮らしている。
ふるさとでの暮らしを奪われた双葉町の人々。
福島県内に残った町民と役場とともに騎西高校に移ってきた町民とが、幾重にも引き裂かれてゆく。県内に残った町民と騎西高校に移ってきた町民との間には深刻な対立がある。
番組では、90代から10代までの何人かの避難者にスポットを当てて追っていた。
事故から1年3ヶ月以上になった双葉町民の姿は、想像を超える苦悩があった。
幾重にも引き裂かれて、国にも見捨てられたと言う双葉町の人々。心も身体も壊れてゆく姿が鮮明に描かれていた。
確 かに双葉町といえば、何十年も帰れる見込みのない線量の場所だ。番組の趣旨は、双葉町の町民が引き裂かれてゆく原発立地自治体の状況を見せているのだが、 そうしてもちろん双葉町の問題はとてつもなく大きな問題なのだが、誤解を恐れずに言えば、被災者が引き裂かれているのは、何も双葉町に限ったことではない のではないか。
福島県の中通りにも原発で被災した場所は沢山あって、引き裂かれた被災者は沢山いるのではないか。会津にもまた。
あるいは、なにも福島県だけに限ったことではない。関東にも線量の高い場所が沢山ある。
避難した人、しなかった人、出来なかった人……千人いれば千通りの引き裂かれた人々がいて、千人居れば千人にそれぞれが抱えた事情がある。
原発事故という原因があって、被害を受けたという事実がある。しかし、一人一人受けた被害は、本当に千差万別なのではないか。
確かに根本的な原因は原発事故であっても、もはやそれは一次的な原因でしかなく、一年3ヶ月も経てば、二次的三次的な沢山の問題が積み重なって、被災者に襲いかかり苦しめているに違いない。
もちろん、そんな人々を法律的にバックアップしようと立ち上がっている人達も少なからず居る。
「裁判外紛争解決手続」ADRも立ち上がって仕事をしてもいる。
けれども、法律だけでは救済できない事柄も、急速に進んでいるのではないかと、私は暗澹たる気持ちになった。
例えば高齢の被災者や孤独を極める被災者たち。
これまでの災害復興の途上でも、いつのどんな災害でも、私たちはそういう被災者の存在を知りながら、全てに手をさしのべられない状況を見聞きしてきた。
17年前の阪神淡路大震災の被災者でさえ、未だに十分な救済がされてはいない実情を、私もよく知っている。けれども、今回の原発事故の災害は、状況の深刻さが格段に深い。
災害はいつどんな形で起こるのか分からない。
その中で原発事故に関しては、最悪の場合は一瞬にして、家族も住まいも仕事も全て奪われる可能性がある。災害復興を他の地域でしなければならないという、その他の災害とは一線を画した災害である。
法律や制度や、ましてや損害賠償金だけでは決して購うことができないほどの大きなダメージを受けるのが原発災害なのだ。だからこそ、二度と事故が起こらないようにしなければならない。
こうして暮らしや尊厳が奪われてしまった福島の人々が、誰よりも強く、原発再稼働反対の意思表示をしている事実を、私たちは決して忘れてはならないと思う。
そうして、原発事故の被災者の暮らしと尊厳について、もっともっと光を当てて考えてゆかなければならないと、改めて心に刻んだのだった。
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福島県郡山の横田有美さんからのFacebookでのコメントを以下に再録いたします。
横田有美
残念ながらこの番組見逃しました。先週の予告を見て知っ
内容はわかりませんが、県民がいろいろな形で引き裂かれ
誰も経験したことのない今の福島の県民の怒り、苦しみ、
今、まだ辛い避難生活をされている沢山の方々を思うとま
これからもっともっと沢山のデモがあると思いますが、辛
青木正美
有美さんにそんな過分な言葉をかけてもらうと、申し訳な
番組はちょうどニュースステーションの裏だったのです。
それを追求するのではないのです。制度の欠陥を追求する
引き裂かれた人々は、双葉だけではないはずです。
私は軽井沢にホットスポットがあることが分かってから、
でも福島の人々は、東電とは関係無いのです。この人達の
もう何もできない自分が申し訳なくて、恥ずかしくて、ど
なので有美さんや皆さんとFBで毎日やり取りする以外、
デモに行ったとき、有美さんたちの応援がどんなに支えら